青森県立三沢商業高等学校

SAH(スーパー・アカウンティング・ハイスクール)について

2021年度「スーパー・アカウンティング・ハイスクール」の取組
取組名(キャッチ・コピー)
「一簿(いちぼ)一笑(いちえ)」
~簿記学習で将来の夢を広げる、高みを目指した会計志プロジェクト~
【三沢商業高等学校の取組】          ※4年度以降も同様の取組を継続する
◇本校のSAH事業の目的
 生徒が夢を実現するハイレベルな教育を実践し、商業高校出身者として地域や本県、ひいては国民経済発展のために第一線で活躍する職業会計人や広く簿記の能力を生かして社会貢献に資する人材を育成する。 商業高校で3年間簿記を学び、興味を持った生徒が大学へ進学し税理士、公認会計士になる夢を叶えることで生涯の仕事をつかむことを目的としたプロジェクトである。
◇これまでの成果と課題
~成果~
 これまで6年間、貴会に最先端の簿記教育体制を整えていただいた。その結果、入学時に簿記の資格で将来の職業の選択肢を広げたいと意欲をもって入学してくる生徒が増えた。また、公認会計士の小島一富士先生の講話を受けてさらに簿記に興味を持ち、専門性を高めるために簿記教育を受けられる進学先へ進んだ生徒も数多くいる。
~課題~
 日商3級に関してはほぼ100%合格を達成できている。しかし、上記からみて分かるように1年生の時点で3級取得が約60%と取得に時間がかかっているのが現状である。また日商2級の取得に伸び悩んでおり、結果が伴わないことによる生徒の意欲が低下傾向にある。
 この原因として、何よりも教員の指導力不足が挙げられており、早急に改善が必要である。今後は教員研修により力を入れていきたい。  また、SAH事業は学校全体で取り組んでいる事業であるが、Haul-Aプロジェクト参加者が簿記部に限定されてしまっていることも課題である。簿記部以外の生徒へもHaul-Aプロジェクトの魅力をきめ細かく伝えるべく、より積極的に面談を行い、Haul-Aプロジェクトを広げていきたい。
 本校生徒は失敗を恐れずに果敢にチャレンジする。失敗も良き経験となり、乗り越えられればまた一つ糧となり成長できると前向きである。しかし3年間の中で挫折を経験した生徒たちが、「石の上にも3年」ということわざがあるように継続して高いモチベーションを保てるようにメンタルケア(精神的なサポート)体制も学校として新たに必要である。同プロジェクトが学校全体の取り組みとして共通理解を図ることができるよう、組織体制の再構築をしていく。
◇今後の取り組み
<強化したい2つの柱>
生 徒 編
「石の上にも3年」のことわざを引用した取り組みにより、まずは高校3年間で日商1級検定合格への道筋を立て、その後上級学校で公認会計士への橋渡しとなるような方向性で進めていくこととした。最終的に、企業の経営状況や今後の動向を深く分析し青森県の未来を拓く人材を目指す。
これらを踏まえた3年間のスケジュールを図示したものが下記のとおりである。






 簿記部以外の生徒に関しては、1年生終了時点で日商3級全員の取得を目指す。1年生の簿記指導においては導入部分に重点を置き、基礎基本を定着させる。生徒の理解度に応じて、習熟度展開を柔軟に変える体制を整える。そして2年生終了時点で日商2級全員の取得を目指す。100%の取得を学校としての大きな目標として掲げる。
これまで日商2級の取得率が思うように上がっておらず、約40%にとどまっている。しかし新検定試験が基本的・標準的な問題になったことから、卒業までに日商2級取得率を倍の80%に引き上げる。取得後は上位級へとつなげる体制を整えていく。
 今年度から年3回の統一検定に加えてネット試験、団体受験など受験機会が増えることから、生徒自身のタイミングでチャレンジが可能となる。それにより上位の生徒については早期取得の可能性が高まり、下位の生徒は合格するまで何度でも挑戦できる。
簿記部に関しては、1年生で2級取得後にHaul-Aプロジェクトを開始し卒業までに日商1級取得者複数輩出を目指す。
◎具体的取り組み
共 通
(1)入学候補者説明会における講演による意識付け
 ・公認会計士小島一富士先生による講演を入学候補者及び保護者へ実施
(2)会計サポートコンテンツによる自学自習の動機付け
 ・パスワードおよびテキストを配布するとともに学習方法の説明と1ヶ月後の
適性試験の実施について通知
(3)簿記適性試験・クラス編成
 ・進度に応じて定期的に実施
(4)放課後講習・補習等、資格取得のバックアップ体制の整備
   商業科・情報処理科
(1)1級学習・Haul-Aプロジェクト
 ・日商簿記検定2級合格者は簿記部と連携して日商簿記1級の学習を始める
(2)外部研修会への参加
 ・小島塾(月1回程度)
 ・簿記坂セミナー&夏合宿(8月)
(3)1級学習クラスへの高崎商科大学経理研究所研究員(公認会計士)による学習指導
(4)Haul-Aプロジェクトメンバーへの高崎商科大学経理研究所研究員(公認会計士)による学習指導
(5)上位級希望者へのサポート体制の強化
 ・選択授業
 ・課外および部活動
簿記部
(1)1級学習・Haul-Aプロジェクト
 ・日商簿記検定2級合格者を対象に日商簿記1級の学習を始める
(2)外部研修会への参加
 ・小島塾(月1回程度)
 ・簿記坂セミナー&夏合宿(8月)
(3)1級学習クラスへの高崎商科大学経理研究所研究員(公認会計士)による学習指導
(4)Haul-Aプロジェクトメンバーへの高崎商科大学経理研究所研究員(公認会計士)による学習指導
(5)各種簿記大会での全国大会出場と入賞を目指した研鑽
(6)日商1級・全経上級の複数合格者の輩出
教 員 編
   青森県商業教育研究会主催の簿記会計分野研究委員会で定期的に行われる検定試験の出題範囲の解説等の講習会を行っている。他にも県外での研修会の機会もあり、本校からも数名参加しているものの、学校全体として同じ意識のもとで指導していく体制が不十分である。さらに上位級を指導できる教員もまだまだ不足しており毎年同じ教員が担当していることが現状である。このことから商業科教員が全員上級者への指導ができ、かつての三沢商業高校の活気を取り戻すべく「復活!三沢商業」を掲げ、以下のような取り組みを行う。
◎具体的取り組み
(1)校内研修を実施し、全商業科教員のスキルアップを図る
(2)SAHプロジェクトの各委員会を機能強化し、生徒の精神的サポートと意欲喚起を行う
(3)外部研修への積極的参加
<施設・環境>
 ・5つあるPC実習室(1つはR3年度中に完成)でWeb講座が視聴可能
放課後、週末等いつでも使用できる環境の整備
 ・タブレット端末を貸与し、学習できる環境を確保
 ・電子黒板の活用
<指導体制>
 ・商業科教員全員での指導
 ・高崎商科大学経理研究所研究員(公認会計士)からの指導を受け、教員セミナーへの積極的参加
組織図

SAHのQ&A

Q1「SAHとは何ですか?」
A1 三商が、全国の商業高校の中で3校だけの指定校に選ばれ、「スーパー・アカウンティング(会計学)・ハイスクール」として、新入生全員で日商簿記検定2級取得を目指す日本最先端の簿記教育を平成27年4月からスタートさせることになったものです。
 ※簿記: 財産がどれくらいあり、1年間でいくら使っていくらもうけたかの世界共通の記録のこと。古代にはすでに簿記は存在し、現在使われている簿記は、14世紀ルネッサンス頃に発明されてからほとんど変わっていないという人類の英知の代表選手です。
 日商簿記検定2級は、特に、中小企業等の経営に欠かせない簿記の力です。つまり、税理士・公認会計士を目指す人はもちろん、特に、将来的に事務系の就職を目指す人には必要な力です。
 三商の取組はこれです!日本最先端の簿記教育とは!
(1)わかりやすさの追求
 ア インターネット上の授業を見て予習、学校の授業で復習をする、文部科学省推奨の「ICT活用による反転授業」を行います。わかった生徒を待たせず、分からない生徒を放置しない画期的なシステムです。
 イ 日本を代表するカリスマ公認会計士が直接指導します。
 ウ 三商生専用のホームページがあり、そこに質問を書き込むと、担当公認会計士がわかりやすく回答し、全員がそのやりとりを見て理解を深めます。もちろん、本校職員へ直接質問するのも大歓迎です。
(2)ハイレベルの追求
 ア 公認会計士への現役合格率がトップクラスの大学で、実際に大学生が視聴しているインターネット上の授業を活用します。
 イ 日商簿記2級合格は全員が目指しますが、同じく1級も高校在学中に取得できる環境(ホール・Aプロジェクト)が全員にあります。
 ウ Skypeにより大学の講座をライブで受講できます。
(3)進路の確保・夢の実現
 ア 高崎商科大学との連携で、4年間授業料免除特待生入学制度があり、日商簿記1級に合格しなくてもホール・Aプロジェクトに参加し「がんばっている生徒」はこの制度で入学できます。大学4年間で税理士・公認会計士合格を完全サポートします。
 イ 日商簿記2級は就職のみならず、広く大学の推薦入試にも役立ちます。さらに1級を取得すると、大手企業への就職、国立大学進学への強力なバネになります。簿記の力は、普通高校の生徒は手にすることができない商業高校生だけの人生の味方です。
Q2「SAHとホール・Aプロジェクトの違いは何ですか?」
A2 SAHは高校在学中に「全員を対象として日商簿記2級に合格」させるプロジェクトですが、ホール・Aプロジェクトは、同じく高校在学中に「志願者を対象として日商簿記1級に合格」させるプロジェクトです。
 さらに、ホール・Aプロジェクト参加者は、1級に合格できなかった場合でも「志がある」と判断されれば、高崎商科大学に4年間授業料免除で特待生入学し、税理士・公認会計士を目指して継続した学習ができます。
Q3「パソコンがないのですが、SAHは大丈夫ですか?」
A3 学校には200台のパソコンがあり、皆さんが利用できるように開放します。また、自宅では、パソコンがなくてもスマートフォンや携帯端末(タブレット)等インターネットの環境があれば授業が視聴できます。
  Q4「勉強が苦手だし、簿記は高校で初めて習うので不安です」
A4 SAHでは、インターネット上の授業(ビデオ)でまず予習するので、聞き逃したところなどは何度でも繰り返し視聴できます。その際どうしてもわからないところは授業で復習するときに先生に聞けますし、質問専用のホームページもあり、至れり尽くせりです。
 これまでの傾向からすると、中学校の成績等は全く関係ありません。
 みんなが初めてなので、がんばっただけ成果が上がります。
 そもそも、簿記は「商業高校生の命」です。例えば、広く社会が水産高校卒の人に水産関連の知識と経験を期待するように、商業高校卒の人には簿記の力を期待します。将来、社会に出たときに、例え、情報処理系の道に進んだとしても、簿記は強力な味方になります。会計ソフトを作ったり、手直ししたりするには、簿記の力がない人にはできないのです。簿記によって社会になくてはならない、取り替え不可能な人材になれるのです。
Q5「簿記の資格は役にたちますか?」
A5 簿記は、言わば、カルテのようなものです。お医者さんが、患者のデータが書き込まれたカルテを見ればすぐにその患者の状態が分かるように、簿記を見れば、すぐにその経営の状態がわかります。これは、個人商店から一部上場の大企業まで、しかも、世界共通です。「医療に貢献したいけど、医者にはなれないなあ」って思う人は、会計士になって病院の経営を指導するのも立派な医療貢献になります。君の人生をぐんと広げる簿記のレベルを説明します。
 日商簿記3級: 簿記の基礎、基本であり、個人商店の経営レベル。
 日商簿記2級: 株式会社の取引が加わり、企業で使える会計知識レベルで、就職や進学に役立ちます。
 日商簿記1級: 大企業の取引を含め最先端の会計知識を学び、簿記のエキスパートとして社会貢献したい人レベル。1級は税理士の受験資格にもなっています。
 進学も選択幅が一気に広がります。以下、主な大学。
 高崎商科大、一橋大、千葉大、弘前大、福島大、信州大
日本大、東京経済大、玉川大、創価大、獨協大、中央学院大
Q6「運動部との両立は可能ですか?」
A6 もちろん可能です。一日30分のインターネット予習、そして、授業で復習が最低限の基本です。一日のどこかで30分、時間を見つけてください。また、学校の中で、一斉に予習する時間が取れるかどうか、設備の面も含めて検討中です。
Q7「日商簿記の2級に合格しないと卒業できないんですか?」
A7 そんなことはありません。SAHは、全員合格が可能なシステムですし、それを目指しますが、努力の結果として万一合格できなくても卒業させないなどということはありません。
 また、同じく3級に合格しないと2年生に進級できないということもありません。
 ただし、せっかくのサポート体制ですので大いに頑張ってみてください。
Q8「SAHに費用はかかりますか?」
A8 ○ 日商簿記3級
      SAH専用テキスト+専用Web授業視聴料    1,620円 → 無  料
 ○ 日商簿記2級(2~3年の2年間で)
 SAH専用テキスト+専用Web授業視聴料    10,260円 → 8,640円
 ○ 日商簿記1級(ホール・Aプロジェクト参加者)
 ホール・A専用テキスト+専用Web授業視聴料 259,200円 → 無  料
 ※ 各級の検定料が別途必要になります。
Q9「2年生で情報処理科に進みたいのですが、簿記は必要ですか?」
A9 はい、必要です。情報処理系に進むと、社会に出てライバルになるのは大学の理工学部卒の人たちです。その時、威力を発揮するのが簿記の力です。会計ソフトの開発は、いくらコンピュータの技能が高くても簿記の知識がないとできません。また、就職した先の社長から「この会計ソフト見にくいからこういう感じに直して欲しい」と言われてできるのは簿記がわかる人です。情報処理系に進んでも、商業高校卒ならではの力を発揮するために簿記が必要です。

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